日本と大陸の中間に位置することから、これらを結ぶ海上交通の要衝として交易・交流の拠点であった対馬・壱岐。
対馬・壱岐は、古事記「国生み神話」で、本州、四国、九州を含む日本の大きな8つの島「大八島国」(おおやしまぐに)の中のそれぞれ「津島」「伊伎島」として描かれ、「本州」や「佐渡」よりも先に誕生したとされています。そんな太古の古事記の世界から今日まで繋がる、島々の文化や歴史をたどる旅を楽しんできました。
旅の前半は、対馬。①万松院(対馬藩主宗家菩提寺)、②上見坂公園(標高358mの展望台)、③椎根の石屋根(県指定有形文化財)、④小茂田浜神社(元寇ゆかりの神社)、⑤海神神社(対馬国一の宮)、⑥和多都美神社(海中にそびえる鳥居が美しい)、⑦烏帽子岳展望台(360度をぐるりと見渡せる)の順に観光しました。(地図提供元:Re島プロジェクト)
今回は、③「椎根の石屋根」、④「小茂田浜神社」を見学した後、①万松院のある「厳原港」近くに戻り、日本料理「志まもと」で夕食後、「ホテル対馬」に宿泊します。
[1日目]
椎根の石屋根
椎根の石屋根は、対馬市南西部の「椎根」(しいね)地区にある、石屋根の倉庫群のこと(県指定有形文化財)。
これらの倉庫群は、対馬で産出される板状の石で屋根を葺いた対馬独特の高床式の建物。朝鮮海峡に面し、風が強い対馬では、農産物などを入れる倉庫の屋根として、瓦の代わりに厚くて大きな自然の石が使われていた。
これらの建物は、人家には使用せず、火災から守るため母屋から離れたところで、食料や衣類、什器など生活に重要なものを保管していたといわれている。しかも床を高床式とすることで、風・火湿気にも強い倉庫になっている。
柱は、断面が長方形の「平柱」であって椎材を用い、周囲の壁・床・天井には松材を用いた。
近くにある「石屋根橋」。
欄干も石屋根の形状で凝っている。
「石屋根橋」を渡って少し歩いていくと、
「椎根川」に沿って小屋が並んでいるが、多くは石屋根から瓦に葺き替えられている。
こちらの倉庫は、格子柄が特徴的。
屋根には、白鷺が威厳高く人の様に立っている(笑)。
小茂田浜
「椎根の石屋根」のやや北側に位置し、県道44号と並走する佐須川(さすがわ)の河口付近にある海岸。河口は港が整備され、右岸は小茂田浜海水浴場になっている。
今は海浜公園にもなっている平和な場所だが、どこか物哀しく感じるのは、かつて「蒙古襲来」(文永の役(1274年)で3万とも言われる元の軍隊が上陸してきた)の古戦場であったためか…。対馬の守護代であった宗助国(そうすけくに)は、わずか80名ほどの兵を率いて元軍を小茂田で迎え撃ち、全員戦死したといわれている。
助国以下戦死した将兵は、隣接する「小茂田浜神社」(こもだはまじんじゃ)に祀られている。
小茂田浜神社
直ぐ横が「境内」になっている。神社には、助助ら勇敢に戦った将兵の霊が祀られ、毎年11月12日の祭礼の日には、その霊を慰める「元寇祭」が行われる。
小茂田浜神社の社殿。「元寇祭」では、武者姿に扮した住民の皆さんが当時を思わせる鎧、兜、刀、槍などで身をかため、参道を練り歩き、その後、神官が蒙古軍が攻めてきた海に向かって弓を引き、武者たちが「えい、えい、おー」と威勢よくときの声をあげます。最後に助国らの戦いぶりを詠んだ「小茂田浜の歌」が歌われます。
境内を出ると、「元寇750年宗助国公騎馬像」や、
「元寇700年平和之碑」、
「元寇奮戦図」などが並んでおり、当時の対馬国を守るために、助国らが奮闘した様子が伝え継がれている。
案内板によれば、宗資国の墓と伝えられる「お首塚」が下原に、「お胴塚」が樫根にあり、一軍の首将の墓がバラバラにあるのも最期の壮絶さが伝わってくる。
海が近いため、参道に沿って防風林が立ち並ぶ。
最後に、小茂田浜神社の「一ノ鳥居」を後にする。参拝の順序が逆だった?
島南西部にある「小茂田浜神社」から、島を東西に横断する県道44号で、東岸の「厳原港」付近へと戻る。
志まもと
夕食は、ランチで利用した「ふれあい処 つしま」の隣で、対馬随一の高級店と言われる日本料理「志まもと」。
ブリ湯豆腐を始め、ひじきの煮物、小鉢ワカメ。酒は、対馬随一の日本酒で、対馬の霊峰から名付けられた「白嶽」(しらたけ)。
お刺身(鰹のタタキ、マグロ、平政、鰤)ヒオウギ貝(帆立貝と似ている)のオイル漬
対馬名物穴子カツ薩摩芋の澱粉で作った対馬独自のろくべえ汁茶碗蒸し
デザート(黒糖のくず餅)
「白嶽」は、スッキリとした甘口で後味が心地よい良い酒。対馬伝統の郷土料理に旬の食材を入り混ぜた、新たな食の出会いに感動!
ホテル対馬
宿泊先は「ホテル対馬」。建物や設備は年季が入っており、部屋も手狭だが、厳原の中心部に近く、バスターミナル(観光情報館ふれあい処つしま)やスーパーマーケット、ドラッグストア、コンビニが徒歩圏内でとても便利なロケーション。
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